令和元年度の過去問解説ということで、私が受験した年です。当日に考えたこと、実際の解答を思い出しながら解説していきます。ちなみに私の実際の点数は・・・【56点】とあまり、自慢できる点数ではないですが。。合格圏内の点数ということで。。解説していきます。

中小企業診断士2次試験 過去問解説令和元年の事例Ⅰ

令和元年の事例Ⅰの概要

  • A社は農業用機械や産業機械装置の製造メーカー
  • 80名の社員がいて、ほとんどが正社員
  • かつてはたばこ乾燥機の売上が右肩あがりだった
  • たばこの社会問題をきっかけに売上が落ち込む
  • 新事業やたばこの乾燥技術を活用して別事業に取り組むも迷走
  • 農産物の乾燥技術をコアテクノロジーと位置づけたことをきかっけに依頼が増えだしている

第1問(配点 20 点):A 社長がトップに就任する以前の A 社は、苦境を打破するために、自社製品のメンテナンスの事業化に取り組んできた。それが結果的にビジネスとして成功しなかった最大の理由は何か。100 字以内で答えよ。

与件分の該当部分

設問1のポイント

  • 大きな意味では抜き出し型であるのだが、要素が多くどのように100文字に収めるのか悩ましい問題。
  • 大きくは喫煙に対する社会的問題という脅威と在庫による収益の圧迫に着目する。
  • この与件分の会社では問題が多く、どの設問でどの要素を使うのか回答を作成する前に分解することが重要

私の解答事例:ちなみに自己採点では12点くらいと推測

理由は、喫煙者の厳しい目と受動喫煙が社会問題化したこと、葉たばこ生産者の後継者不足による市場の縮小による売上減少と機械の膨大な補修用部品が在庫となって費用が増大し収益を悪化させたこと。

第2問(配点 20 点)A 社長を中心とした新経営陣が改革に取り組むことになった高コスト体質の要因は、古い営業体質にあった。その背景にある A 社の企業風土とは、どのようなものであるか。100 字以内で答えよ。

与件分の該当部分

設問2のポイント

時代にあった変化ができない組織であるということは、全体像からなんとなく把握できるもののどこを抜き出すのかは悩ましい問題。

「高コスト体質の要因」「古い営業体質」「企業風土」という設問内のワードに注目することが大切。

私の解答事例:ちなみに自己採点では6点くらいと推測

競争の少ない業界で同じ生産業者に対して同じ製品を営業するという経験から新しい分野への挑戦ができない企業風土、手書きの帳簿で処理し、全社的な計数管理が行われないことによる高コスト体質

第3問(配点 20 点)A 社は、新規事業のアイデアを収集する目的で HP を立ち上げ、試験乾燥のサービスを展開することによって市場開拓に成功した。自社製品やサービスの宣伝効果などHP に期待する目的・機能とは異なる点に焦点を当てたと考えられる。その成功の背景にどのような要因があったか。100 字以内で答えよ。

与件分の該当部分

設問3のポイント

  • 前段からからのストーリーに注意
    ⇒ターゲットを絞れない⇒ホームページで潜在顧客の発見⇒営業のプロモーション というストーリー展開
  • 年代を間違いやすい。A社長は、2000年代後半に引き継いでいるので2010年ごろの話と思われる

私の解答事例:ちなみに自己採点では12点くらいと推測

要因は、①試験乾燥により実体験してもらうことで顧客ニーズの収集ができ、潜在市場の存在を確認できたこと。②その市場に対して営業部隊が効果的にプレゼンができたこと。

第4問(配点 20 点)新経営陣が事業領域を明確にした結果、古い営業体質を引きずっていた A 社の営業社員が、新規事業の拡大に積極的に取り組むようになった。その要因として、どのようなことが考えられるか。100 字以内で答えよ。

与件分の該当部分

設問4のポイント

  • 比較的容易な抜き出し問題であるが、組織・人事がテーマであることを意識して解答作成が望ましい。
  • 事例Ⅰでは、1問は士気向上、モラール向上が解答となる問題があるイメージ。令和元年はこの問題。

私の解答事例:ちなみに自己採点では12点くらいと推測

農産物の乾燥技術をコアテクノロジーと位置づけ、社員に共有したことと新しい市場の可能性を提示したこと、賞与に成果主義を導入したことにより、社員の士気向上につながったこと。

第5問(配点 20 点)A 社長は、今回、組織再編を経営コンサルタントの助言を熟考した上で見送ることとした。その最大の理由として、どのようなことが考えられるか。100 字以内で答えよ。

与件分の該当部分

  • 対象箇所はすぐに特定できるが、どのような解答を作ればよいのかわかりにくい問題。
  • 機能別組織のメリット・デメリットに注目して解答を作ると良いと思う。

私の解答事例:ちなみに自己採点では12点くらいと推測

理由は、事業が発展途上のため、機能間のノウハウ、情報共有が必要な段階であり、リーダーによる意思決定、情報管理が必要な点、部門別組織などへの変更は、事業成長の障壁となる可能性があるため。

まとめると

  • •設問1(12点)、設問2(6点)、設問3(12点)、設問4(12点)、設問5(12点)で54点と採点。実際の56点に近いと思われる。
  • •組織、人材に関するキーワード:モラール、士気向上、成果主義経営戦略に関するドメイン、差別化、競争優位性※困ったらこの辺りのキーワードを結論とした回答を。
  • 設問で必要となる与件分のパーツさえきちんと拾えば最低でも50点は確保できると思われる。

細かいニュアンスは動画を確認いただければありがたいです。