中小企業診断士2次試験 事例Ⅲ対策として、令和2年度過去問実践解法の解説です。

事例Ⅲは、セオリー通り素直に対応すれば合格点は十分に狙える

事例Ⅲは生産管理に関する事例となります。製造業に馴染みのない人にとってはハードルが高そうに感じる問題ですが、逆に製造業に馴染みのない人ほど点数が取りやすい科目ではないかと思います。

基本的には、1次試験の生産管理で学んだ知識を素直に解答していくことで点数が取れます。ここで重要なのは実現性を考えずにセオリーどおり素直に解答していくということです。それでは、問題解説をしながら説明をしていきます。

まず令和2年度の事例Ⅲの大きなポイント

下記の3点がポイントとなります。

  • 事例Ⅲは標準化、マニュアル化がキーとなるケースが多い。令和2年度はまさに標準化、マニュアル化が大切
  • 抜き出し型かそうではないのかを切り分ける
  • 実際にできるかどうかは無視して考える

事例Ⅲの企業概要

中小企業診断士の2次試験では、ざっと与件文を読み企業の概要を理解し、設問を読み、与件文をじっくりと読み該当箇所を探すというの手順です。最初に理解しておきたいのは以下のような点です。

  • C社はステンレス製品を受注、製作、据付する企業
  • 3代目になってからステンレス製のモニュメントに力を入れている
  • 営業の担当範囲が広くロスが出ていそう
  • 納期の遅延が問題となっている
  • 複数の作業チームがいるが、技術力に差がある

第1問(配点 20 点):C 社の⒜強みと⒝弱みを、それぞれ 40 字以内で述べよ。

基本的に抜き出し型の問題。40字でおさめるためにワンポイント工夫をする。

(a)強みの抜き出しポイント

⇒技術的な側面の強み

⇒対応範囲に関する強み。こういった企業の場合には、一貫体制というキーワードを使うと良い

(b)弱みの抜き出しポイント

以下の3点が抜き出しポイント。最大の弱みが『納期の遅延』という5文字で説明ができるため、残りの文字数でどれだけ要素をねじ込めるかで数点の差がでてきそうな問題

第2問(配点 40 点) C 社の大きな悩みとなっている納期遅延について、以下の設問に答えよ。

(設問 1 ) C 社の営業部門で生じている⒜問題点と⒝その対応策について、それぞれ 60 字 以内で述べよ。

(a)問題点は抜き出し型、(b)は(a)から考える問題

⇒抜き出しは容易。営業部の負担割合の軽減か、顧客とのやり取りを減らす対策が必要。

⇒対策は、●●で負担を軽減する。●●で打合せ時間を減らすと書ければ、●●は想像で。実現性を考えるとはまるので注意。

(設問 2 )C 社の製造部門で生じている⒜問題点と⒝その対応策について、それぞれ 60 字以内で述べよ。

こちらも抜き出しは容易。標準化できていないという文章が出てきたら、⇒標準化する⇒教育、マニュアル化と考えるのがセオリー。また、レイアウトが悪いと書いてるのでレイアウトを見直すを解答。ここでレイアウト変更なんで簡単なことではないと現実性を考えないことが大切な点。

第3問(配点 20 点)C 社社長は、納期遅延対策として社内の IT 化を考えている。C 社の IT 活用について、中小企業診断士としてどのように助言するか、120 字以内で述べよ。

IT化というのは、情報管理や標準化するということ。不必要にIT技術を思い出す必要はない。納期遅延の対策であるから納期遅延に対して標準化されていない点を指摘する。

⇒生産計画は短期化がセオリー。月次より週次より日次計画が優れているというのがセオリー。効果はリードタイムの短縮と解答すればよい。

⇒ここでも具体的施策は不要。標準化が確立されていないのであれば、標準化を確立すると回答。

⇒60文字程度の解答であれば、上記2つで十分だが120文字あるのでもうひとひねり必要。IT化というのは情報共有という側面がある。情報が分断されていそうな箇所について共有を助言する。この問題では営業部と製造部間の情報共有や顧客との情報共有の強化をIT化で実現することでやり取りを減らすことができる可能性がある。

第4問(配点 20 点)C 社社長は、付加価値の高いモニュメント製品事業の拡大を戦略に位置付けている。モニュメント製品事業の充実、拡大をどのように行うべきか、中小企業診断士として 120 字以内で助言せよ。

この問題は『充実』『拡大』というワードに注意。設問内にあるこのようなキーワードを見落とさないようにすることが大切。おそらく、『充実』とは、内部的な質の向上(付加価値向上)、『拡大』とは、営業拡大を示している。

質の向上と考えると、『充実』⇒できていないことをできるようになるということ。つまり、納期遅延の防止(短納期化)、7m以上の製品への対応など

『拡大』は、新規顧客への訴求。営業体制の強化、技術力を訴求など。営業部のキャパシティを確保することで営業に関する活動量を増やすといった形なども考えられます。

大事なことは、文末を~でモニュメント製品事業の拡大を実現する。と書くこと。そのゴールに向けて前段を考える。

細かなニュアンスは動画で確認ください。