中小企業診断士2次試験の4つの事例のうち、財務・会計である事例Ⅳを苦手とする受験生の方が多いと思います。難易度は高いですが、恐れずに押さえるべきことを押さえれば2次試験の突破は可能です。
2次試験事例Ⅳの傾向と対策
まず、中小企業診断士2次試験は、4つの事例が出題されます。
- 事例Ⅰ「組織(人事を含む)を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例」
- 事例Ⅱ 「マーケティング・流通を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例」
- 事例Ⅲ 「生産・技術を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例」
- 事例Ⅳ 「財務・会計を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例」
このうち事例Ⅳだけが勉強方法が異なります。
唯一正答がはっきりしているのが事例Ⅳ
事例Ⅰ~事例Ⅲは記述式の問題となりますが、事例Ⅳは財務・会計に関する計算問題となり、正答がはっきりしています。
実際には、事例Ⅰ~事例Ⅲも国家試験である以上正答があると思われるのですが、はっきりしません。
その点、事例Ⅳは計算問題で、答えが計算結果ですので、はっきりしています。
それだけに解けないということもはっきりしてしまうのが事例Ⅳです。
ちなみに私自身、事例Ⅳは苦手です。本試験の結果は47点です。
事例Ⅳに向けた戦略を立て、どの分野に力を入れるのか明確にする
事例Ⅳに向けた取り組みとしてどういう点数を目指していくのかということがあります。
- 事例Ⅳを得点源に。70点以上の高得点を目指す Ø財務・会計の専門家や日常的に業務としている人向け
- 合格点60点クリアを目指す Ø2年目以降の受験生などそれなりに勉強時間が取れる人向け
- 足切り回避。あわよくば60点取る Ø初年度受験生、財務・会計苦手な人向け
3つの方向があります。当然のことながら私は47点ですので3です。。
事例Ⅳは得点源にしにくい理由
基本的に事例Ⅳは得点源とはしにくいと考えてもらった方が良いです。
その理由は、
- 同じ問題がほぼ出題されず、必ず新しいファクターがあり、連結子会社が登場したり、吸収合併が登場したりする。
- 一つのファクターの見落としで計算結果が異なる
- 1日の試験の最後の試験で脳が疲れ切っている。
ということで、財務・会計の専門家でなければ、重点を置かずに事例Ⅰ~Ⅲへのパワー投下を増やした方が良いです。
事例Ⅳの出題内容
事例Ⅳで出題される問題は以下のとおりです。
- 経営分析
- 損益分岐点分析
- 意思決定会計
- セグメント分析
- キャッシュフロー分析
- そのほか
このうち、経営分析と損益分岐点分析以外を苦手とする人が多いと思います。それでも大丈夫です。というのは、経営分析と損益分岐点分析をしっかりと解ければ十分に点数が取れるからです。
過去の分野別の出題状況
過去5年の配点は以下のとおりです。
令和2年 | 令和元年 | 平成30年 | 平成29年 | 平成28年 | |
経営分析 | 25点 | 25点 | 24点 | 25点 | 25点 |
損益分岐点分析 | 30点 | 25点 | 30点 | 18点 | 25点 |
意思決定会計 | 30点 | 29点 | 15点 | ||
セグメント別会計 | 25点 | ||||
キャッシュフロー分析 | 31点 | 35点 | |||
そのほか | 20点 | 20点 | 15点 | 28点 |
少し乱暴に切っています。同設問内に複数の分野が入ってるケースでは、より重要度が高いと思った分野に割り振っています。
見ていただくとわかるように経営分析と損益分岐点分析を解くことができれば、足切りは回避できます。他設問で部分点を獲得することができれば、50~60点を目指すことができます。
そのためには、
- 経営分析と損益分岐点分析に重点を置いて学習する
- 他の設問は部分点を取るための学習をする
- 過去問を解く場合には、時間配分、順序を意識することを徹底する。
特に最後の点は非常に重要です。設問は経営分析⇒意思決定会計⇒損益分岐点分析というような順番になっているケースも少なくありません。正答したい経営分析と損益分岐点分析をしっかりと解き、残り時間で他の問題を解くことを意識してください。※年度によっては、記述が多いので記述も先に解いてしまうことを忘れずに。