フリーランスとして今は仕事がある。
しかし、
「この仕事を10年後、20年後も続けられるだろうか?」
と考えたことはないでしょうか。
特にITエンジニア、Web制作者、デザイナー、ライターなどは、技術やトレンドの変化が非常に速い仕事です。
最近ではAIの普及によって、これまで人が時間をかけて行っていた仕事を短時間でできるようになるケースも増えてきました。
もちろん、AIによってすぐに仕事がなくなるという単純な話ではありません。
それ以上に考えておきたいのが、10年後、20年後も、その業界の最前線を追い続けられるのかという問題です。
私は現在、中小企業診断士・行政書士として活動していますが、もともとはWeb制作やWebサービスなどの仕事をしていました。
今回は私自身の経験も踏まえて、フリーランスの将来のキャリアを考えるうえで「今持っているスキルに国家資格を掛け合わせる」という選択肢について解説します。
フリーランスの仕事は技術変化の影響を受けやすい
Web、IT、デザインなどの世界では、新しい技術やサービスが次々と登場します。
フリーランスや小さな会社の場合、大企業のように多くの社員で情報を集めたり、それぞれの専門分野を分担したりすることも難しくなります。
私自身、Web関連の仕事をしていた頃に、自分で最新情報を追いながら、自分でアウトプットし続けることに難しさを感じるようになりました。
その後、中小企業診断士の資格を取得し、現在では診断士の仕事が中心になっています。
ただし、Webの経験を捨てたわけではありません。
むしろ現在は、**「WebやITのことが分かる中小企業診断士」**として、それまでの経験が大きな強みになっています。
フリーランスから国家資格を取得するメリットは、まったく別の仕事へ転職することだけではありません。
これまでの経験に資格を加えることで、新しいポジションを作ることができます。
メリット1 本業でも士業でも差別化できる
国家資格と既存のスキルを掛け合わせる大きなメリットが、両方の分野で差別化できることです。
例えば、デザイナーが中小企業診断士を取得したとします。
デザイナーとして見れば、
「経営やマーケティングの分かるデザイナー」
という特徴を持つことができます。
一方、中小企業診断士として見れば、
「デザインや販促に強い中小企業診断士」
として活動できます。
ITエンジニアであれば、
「経営が分かるITエンジニア」
であると同時に、
「IT・DXに強い中小企業診断士」
にもなれます。
同業者とスキルや価格だけで競争していたところに、国家資格という別の専門性が加わります。
「これまでのスキル×国家資格」
という掛け合わせによって、自分独自のポジションを作れる可能性があります。
メリット2 新しい集客ルートができる
国家資格を取得すると、これまでとは違うルートから仕事につながる可能性があります。
例えばWeb制作をしている場合、通常は「ホームページを作りませんか」と営業したり、紹介やWeb、SNSなどから仕事を獲得したりします。
一方、中小企業診断士として活動していると、創業相談や経営相談などを通じて事業者と出会うことがあります。
創業相談をしていると、
「ホームページも必要なんです」
という話になることもあります。
Web制作の経験があれば、そこからWeb関連の仕事につながる可能性があります。
また、他の中小企業診断士や行政書士などから、
「お客さんがホームページを作りたいと言っている」
と紹介を受けることもあります。
つまり、国家資格を取得することで、これまでとは異なる人脈や仕事の入口を作れるということです。
メリット3 収入源を分散できる
フリーランスの場合、一つの仕事に収入が集中しやすいという特徴があります。
例えば収入のほぼ100%をWeb制作から得ている場合、Web制作の需要や単価が大きく変化すると、その影響を直接受けます。
一方で国家資格を活用すれば、
Web制作に加えて、
・経営相談
・専門家としての支援
・セミナー講師
・士業としての業務
など、別の収入源を作れる可能性があります。
私自身、コロナ禍では運営しているコワーキングスペースの収益が大きな影響を受けました。
その時期に中小企業診断士としての仕事を増やすことで、収入全体のバランスを取ることができました。
「資格を取れば収入が増える」と単純に考えるのではなく、一つの仕事だけに依存しない状態を作るという意味でも国家資格は活用できます。
メリット4 年齢やAI・技術変化に合わせてポジションを変えられる
長期的なキャリアを考えるうえで、特に大きなメリットだと思っているのがこれです。
例えばITエンジニアの場合、若い頃は自分で手を動かし、最新技術を使ってシステムを作ることが中心かもしれません。
しかし、年齢を重ねても同じポジションで最新技術を追い続ける必要はありません。
中小企業診断士などの知識を加えることで、
「企業にどのようなシステムが必要なのか」
「ITを導入して業務をどう改善するのか」
「経営者の要望をどのようにITベンダーへ伝えるのか」
といった上流側の仕事へシフトすることも考えられます。
いわば、経営者とITベンダーの通訳役です。
私自身、現在では最新技術を使ったWebサイトを自分で制作することはほとんどありません。
しかし、経営相談の中でWeb集客やSNSについて相談を受け、事業者と専門業者との間をつなぐことはできます。
これまで現場で積み重ねてきた経験は、年齢を重ねると価値がなくなるのではなく、使い方を変えることで新しい価値になる可能性があります。
メリット5 今まで入りにくかった世界に入れる
国家資格には、社会的信用という側面もあります。
これは「フリーランスには信用がない」という意味ではありません。
例えば役所や商工会議所などでは、経営相談員や専門家を募集・登録している場合があります。
デザイナー、エンジニア、ライターなどの実務経験者が専門家として活動しているケースもありますが、自分の能力や実績を客観的に説明する必要があります。
一方、中小企業診断士などの国家資格を持っていれば、一定の専門知識を持っていることを分かりやすく示せます。
募集によっては国家資格保有者などが応募要件になっている場合もあります。
こうした場所に入ることで、公的支援機関、経営者、他士業など、これまでとは違う人との接点も生まれます。
国家資格は単なる肩書きではなく、これまで入りにくかった世界への入口になる可能性があるということです。
「一番稼げる資格」から考えない
では、フリーランスはどの国家資格を取ればよいのでしょうか。
これは人によって異なります。
重要なのは、
「一番稼げる国家資格は何か?」
だけで選ばないことです。
それよりも、
「自分がこれまで何をやってきたのか」
そして、
「これからどの方向へ進みたいのか」
から考えた方がよいでしょう。
例えば、経営全般に関わりたいのであれば中小企業診断士、人事・労務分野なら社会保険労務士、許認可などの分野なら行政書士という選択肢があります。
資格によって試験内容も大きく異なるため、興味のある資格があれば、資格学校の無料講座を受講したり、過去問を見たりして、自分との相性を確認してみるのもよいでしょう。
今までの経験を捨てずに「もう一つの軸」を作る
国家資格を取得すれば将来安泰というわけではありません。
資格を取って独立しても、十分な収益を得られず廃業する人もいます。
資格取得そのものにも時間と費用が必要です。
それでも、フリーランスとして、
「この仕事を10年後、20年後も続けられるだろうか」
と考えているのであれば、国家資格は一つの選択肢になると思います。
ポイントは、これまでのキャリアを捨てることではありません。
今まで積み上げてきた経験やスキルに、国家資格という新しい専門性を加えることです。
デザイン×経営。
IT×経営。
Web×士業。
ライティング×専門資格。
こうした掛け合わせによって、現在の仕事を強くすることも、新しい仕事を作ることもできます。
そして10年後、20年後に環境が変化したときには、もう一つの仕事へ軸足を移すこともできます。
「どの資格が一番稼げるのか」だけではなく、
「自分が今持っているスキルに何を掛け合わせれば、10年後の選択肢が増えるのか」
という視点で、これからのキャリアを考えてみてはいかがでしょうか。
