士業の倒産が過去最多というニュースを見て思ったこと

先日、「士業の倒産件数が過去最多になった」というニュースが話題になりました。

資格取得を目指している方や、将来的に独立を考えている方にとっては気になるニュースだったのではないでしょうか。

実際、私も中小企業診断士や行政書士として活動しているため、多くの方から

「士業はもう厳しいんですか?」
「今から資格を取る意味はありますか?」

という質問を受けることがあります。

結論から言うと、私は士業がオワコンだとは思っていません。

ただし、

「資格を取れば安泰」

という時代ではなくなっていることも事実です。

今回は士業の倒産ニュースをきっかけに、資格取得や独立開業について私が感じていることを書いてみたいと思います。

倒産件数だけを見てはいけない

今回のニュースで対象となっているのは、負債1,000万円以上の倒産です。

士業の場合、製造業や飲食店のように大きな設備投資が必要な業種ではありません。

そのため、負債1,000万円以上の倒産というのは、

  • 事務所を借りている
  • 従業員を雇用している
  • 広告費をかけている

といった、ある程度の規模の事務所である可能性が高いと考えられます。

一方で、多くの士業は自宅開業や小規模事務所です。

そのため、

  • 独立したが思ったほど仕事が取れなかった
  • 会社員に戻った
  • 実質的に廃業した

というケースは統計には表れません。

私はむしろ、倒産件数以上に「静かに撤退した人」の方が多いのではないかと思っています。

AIによって士業の仕事は減るのか

AIの影響について聞かれることも増えました。

これは正直なところ、

「影響はある」

と思っています。

私自身、20年以上前に個人事業を始めた頃は税理士に相談しながら確定申告をしていました。

しかし、クラウド会計ソフトの登場によって、自分で対応できる部分が大幅に増えました。

行政書士業務でも同じです。

昔なら専門家に聞かなければ分からなかったことが、今ではインターネットやAIで調べられるようになっています。

つまり、士業の仕事の一部は確実にAIやITツールに置き換わっていくでしょう。

実は士業にも「流行」がある

士業は安定職と思われがちですが、実際にはトレンドの影響を強く受けます。

例えば、

  • 過払い金請求
  • 相続関連業務
  • コロナ関連支援
  • 補助金申請支援

など、その時代ごとに需要が集中する分野があります。

需要が急増すると、

  • 人を採用する
  • オフィスを拡大する
  • 広告を増やす

という投資を行います。

しかし、トレンドが終わると売上だけが減り、固定費は残ります。

結果として経営が悪化するケースも少なくありません。

実際、補助金業界でも大きく成長した後に苦戦する事務所を見てきました。

士業の倒産増加には、AIだけでなくこうした環境変化への対応の難しさもあると思います。

それでも士業が強い理由

一方で、士業には他のホワイトカラー職にはない強みがあります。

その代表が独占業務です。

例えば行政書士が扱う許認可申請。

理論上は本人でもできます。

しかし実際には、

  • 調べる時間がない
  • 手続きが複雑
  • ミスしたくない

という理由から専門家に依頼する人が多くいます。

年商1億円の会社の社長が、10万円や20万円を節約するために何日もかけて手続きを勉強するケースは少ないでしょう。

また、士業には長年にわたり築かれた制度的な基盤があります。

政治連盟や業界団体による活動もあり、職域を守る取り組みも行われています。

こうした背景を考えると、他の職種と比較して急激に市場が消滅する可能性は低いと考えています。

士業はオワコンなのか

私の結論は、

「士業はオワコンではない」

です。

ただし、

「資格を取れば安泰」でもありません。

今後はAIによってホワイトカラーの仕事の一部が減ることは避けられないと思います。

その中で重要なのは、

  • どの分野を専門にするのか
  • どの顧客をターゲットにするのか
  • どのような価値を提供するのか

を考え続けることです。

実際、今でも士業は稼げる人と稼げない人の差が大きい業界です。

そして今後、その差はさらに広がるでしょう。

まとめ

士業の倒産件数が過去最多になったというニュースは事実です。

しかし、それだけを見て

「士業は終わった」

と考えるのは早計です。

AIによる変化は確実に起きています。

一方で、独占業務や専門知識への需要も残ります。

大切なのは資格そのものではなく、変化に対応しながら価値を提供し続けることです。

もしこれから資格取得や独立を考えているのであれば、

「資格を取れば安泰か」

ではなく、

「資格を使ってどんな価値を提供するのか」

という視点で考えてみることをおすすめします。