中小企業診断士1次試験において多くの受験生が苦手とする「財務・会計」の学習のポイントをまとめました。動画では同内容をもう少し詳しく解説しています。
財務・会計とはどのような科目か?
- 企業経営理論の次に勉強することが多い科目
- 難易度は高く、苦手とする受験生が多い
- 暗記科目ではないので、トレーニングが必要
- 2次試験で重要になるのでしっかりと学習の必要
- 診断士として活動するうえでも重要となる
財務・会計は企業経営の基本
試験案内には、「財務・会計に関する知識は企業経営の基本 であり、また企業の現状把握や問題点の抽出において、 財務諸表等による経営分析は重要な手法となる。」とある とおり、企業にとって、お金は経営の基本であり非常に大切 なことです。知識のない人にとってはとっかかりにくい 科目ですが、基本的なことからきちんと積み上げるような 学習をすれば大丈夫です。
難易度は高いと言われるが、合格率は低くない
1次試験の合格率が42.5%と非常に高かった令和2年度の場合には、試験合格者が 全員60点取ったと仮定して、試験合格者(5,005人)+科目合格者(1,161人)/科目受験者 数(10,783人)で57.1%の合格率。同計算で令和元年度は、47.7%と比較的合格者は多い。
1次試験と2次試験で試験内容は異なる
1次試験では、実際の財務・会計に関する計算をしないと いけない問題と、財務・会計の知識に関する問題が出題され ます。一方で、2次試験では、計算問題が中心となります。 ただし、計算問題と言っても経営分析を踏まえた上での問題 ですので、単純な計算問題ではありません。大きな違いと して1次試験は電卓持込不可、2次試験は電卓持込可です。
1次試験における知識問題の例
財務・会計では何を勉強するのか
大きくは科目名のとおり「会計(アカウンティング)」と 「財務(ファイナンス)」の2つです。 会計とは、貸借対照表(BS)や損益計算者(PL)などの 財務諸表を使って会社のお金の管理や分析をすること。 財務とは、投資の評価や企業価値の算定など会社の お金をどう活用するかということ。
試験案内記載の試験科目設置の目的と内容
財務・会計に関する知識は企業経営の基本であり、また企業の現状 把握や問題点の抽出において、財務諸表等による経営分析は重要な 手法となる。また、今後、中小企業が資本市場から資金を調達した り、成長戦略の一環として他社の買収等を行うケースが増大する ことが考えられることから、割引キャッシュフローの手法を活用 した投資評価や、企業価値の算定等に関する知識を身につける必要 もある。このため、企業の財務・会計について、以下の内容を中心 に知識を判定する。
勉強するうえでのポイント
- 積み上げ式の科目なので前半から丁寧に理解する
- 基礎知識の無い方は簿記をしっかり学習する
- 空き時間学習よりもしっかりと時間を取って学習する
- 60分の試験時間内で解ける力をつける
- 2次試験で重要となるところはしっかり学習しておく
積み上げ式の科目
英語や数学みたいなもので、理解が不十分なまま先に進むの は非常に非効率になるし、苦手意識ばかりがついてしまい ます。前の方からしっかりと理解をするように学習する。
簿記をしっかり学習する
簿記というと難易度が高そうに感じますが、一つ一つは 単純なことです。家計簿の延長線上にあると思って取り組め ば良いと思います。最初の方で学ぶ財務諸表や簿記の基礎 知識をしっかり押さえてから前に進むようにしてください。 まったく簿記の知識がない人は簿記3級の勉強をすると良い と言われてます。(簿記3級の勉強時間の目安は50時間)
実際に簿記3級を取得する必要はありませんので、下記のような入門書をきっちりと理解することで十分かと思います。
しっかりと時間を取って学習
中小企業診断士に限らないと思いますが、試験勉強には、 通勤通学時間などの空き時間の活用が有効です。 財務・会計は、しっかりと時間を取って机に向かって勉強 するスタイルが良いです。空き時間に頭の中で考えるより は、実際に手を動かして計算をしていくことが大切です。 また、社会人は、手計算をする機会が減っているので、 手計算の感覚もしっかりと戻しておく必要があります。
試験時間は60分
中小企業診断士1次試験は、科目によって試験時間が60分 と90分になっています。財務・会計は60分の試験です。 個人的には、7科目のうち、財務・会計と経済学・経済政策が 時間がぎりぎりになりました。他の科目は時間管理しなくて も時間が足らないとはなりにくいですが、財務・会計は過去 問等で60分のタイムマネージメントのトレーニングを しっかりしてください。
2次試験を意識する
2次試験で重要となるのは、「財務諸表を用いた経営分析」 「CVP計算(損益分岐点計算)」「意思決定会計」の3つです。 加えるなら「キャッシュフロー計算」です。 この3+1は1次試験の段階から2次試験の学習をしていても プラスになります。私個人はこの点をしっかりしなかった ため、2次試験では苦労しました。
1次試験はマークシートのため、計算があいまいでも正答でき てしまったり、1問1問で考える範囲が狭くなっています。 マークシートがなくても正答できるようにしておく方が 2次試験に向けては良いです。「30日完成!事例IV合格点突破 計算問題集」を1次試験のときから繰り返ししておけば 良かったと後悔しました。