士業を目指している方の中には、「行政書士って稼げないらしい」「廃業率90%って聞いたけど…」といった噂を目にしたことがあるかもしれません。
しかし、それらの情報の多くは「根拠のない数字」や「一部の声」が拡散されたものにすぎません。本記事では、実際の統計データや現場の感覚をもとに、以下の点を解説していきます。
- 行政書士の廃業率は本当に90%なのか?
- 他の業種と比べて士業はどうなのか?
- 行政書士で実際に稼げるのか?
- 「資格を取れば稼げる」という幻想
行政書士の廃業率は90%?→実際は約4%です
インターネットで「行政書士 稼げない」と検索すると、廃業率90%という数字を見かけることがありますが、実際のデータとは大きく異なります。
令和5年度の行政書士登録データによると:
- 登録者数:約51,000人
- 廃業届提出者:約2,000人
つまり、廃業率は約4%。この中には稼げなずに廃業した人だけでなく「高齢での引退」なども含まれていると考えられます。
月額5,000~7,000円の会費がかかる行政書士登録を維持している人が多いという事実自体、一定のメリットや収益が見込めている証とも言えます。
他の業種と比べて、士業の廃業率は高いのか?
独立後の10年生存率が10%とも言われますが、それも一部誤解を生む表現です。
中小企業白書(2024年版)によると、雇用保険加入事業所ベースの廃業率はおおよそ3.3%。業種別で最も高い「飲食・宿泊業」でも約5.9%です。
ただしこの数字には雇用保険の加入がベースとなった資料のため、フリーランスや副業開業者は含まれていません。現実的には「本気で独立した個人」の10年後の生存率は10~20%程度という感覚は正しいと思っています。それでも行政書士の廃業率は低めであると言えるでしょう。
行政書士は本当に稼げないのか?
厚生労働省の職業情報提供サイト「Jobtag」によれば、行政書士の平均年収は約591万円とされています。
▶ 出典:Jobtag:行政書士の年収データ
もちろん、勤務か独立か、地域や業務内容によってばらつきはあります。資格学校などでは、行政書士の収入は、勤務:年収250~400万円、独立:1000万円以上のケースもといった形で案内されているケースが多いです。(営業目的もあるとおもいますが。。。)
SNSなどで「稼げない」と発信している人の多くは、そもそも「開業後に十分な準備ができていなかった」あるいは「資格取得だけで稼げると思っていた」可能性があります。
「資格を取れば稼げる」は幻想です
資格を取っただけで稼げると思ってしまうと、現実とのギャップに苦しみます。
行政書士は独占業務もあり、信頼性が武器になる一方で、ライバルも多く、経験や営業力がないと選ばれません。開業当初はすべて新規顧客獲得からのスタート。1年目は赤字も当たり前です。
- 2年目にリピートが出る
- 3年目以降に安定する
- 営業・情報発信・信頼構築が不可欠
「3年で軌道に乗せる」という前提で、準備と行動を積み重ねていくことが、稼げる士業への道です。
士業で成功するには「戦略」と「継続」が必要
資格はスタート地点に過ぎません。大事なのは、その後の戦略と努力です。
- 初年度をしのぐための資金計画
- 営業・発信による顧客接点の獲得
- 失敗しながら学び、改善する姿勢
資格で人生を変えることは可能です。ただし「楽して稼げる」は幻想。正しい情報と準備、そして行動力があれば、士業はむしろ「安定しやすい職業」でもあります。
✅ まとめ
- 行政書士の廃業率は90%ではなく、約4%が現実
- 他業種と比べても、士業の廃業率はむしろ低め
- 資格取得だけで稼げるわけではない
- 稼ぐためには戦略・営業・信頼構築がカギ
- 3年間で軌道に乗せるという視点で準備しよう