これから中小企業診断士の勉強を始めようとしている方、
あるいはすでに勉強を始めているものの、
- このやり方で合っているのか不安
- 頑張っているのに成果が出ない
- 何年もかかりそうで焦っている
そんな悩みを感じていないでしょうか。
実は、中小企業診断士試験では
「真面目で、きっちり勉強する人ほどハマりやすい失敗パターン」があります。
本記事では、中小企業診断士・行政書士として活動する筆者が、
自身の受験経験やこれまで多くの受験生を見てきた中で感じた
失敗しやすい勉強法と、その回避ポイントを整理して解説します。
中小企業診断士の勉強で失敗する人に共通する特徴
中小企業診断士の受験生を見ていると、
比較的スムーズに合格する人と、何年も苦労してしまう人に分かれます。
少し誤解を恐れずに言うと、
真面目で、計画的で、きっちりやろうとする人ほど苦労している
というケースは少なくありません。
これは努力が足りないわけではなく、
努力の方向性や時間配分を間違えていることが原因です。
① 勉強前に「試験対策(試験研究)」をしないのは危険
よくある失敗のひとつが、
試験の全体像を把握しないまま勉強を始めてしまうことです。
- とりあえずテキストを買う
- 資格学校の講義を順番に受ける
- 問題集を前から解き始める
一見すると正しい勉強法に見えますが、
中小企業診断士試験は「知識量勝負」の試験ではありません。
資格試験はよくゲームに例えられます。
ゲームであれば、攻略本を見ながら進めた方が
圧倒的に早くクリアできます。
診断士試験も同じで、
まずは試験の構造・特徴・合格戦略を理解することが重要です。
- 1次試験と2次試験の関係
- 各科目の重要度
- 合格者がどのような考え方で勉強しているか
これらを押さえたうえで、
自分に合う勉強スタイルを選ぶ必要があります。
② 7科目を同じ熱量・同じ時間で勉強すると失敗しやすい
中小企業診断士試験は、
1次試験が7科目、2次試験が別に存在するという特徴があります。
よく「勉強時間は1000時間」と言われるため、
- 1次試験:7科目×100時間
- 2次試験:300時間
といった計画を立てがちですが、
この考え方は非常に危険です。
なぜなら、
7科目は重要度も勉強方法も役割もまったく違うからです。
特に重要な科目
企業経営理論と財務・会計は、
2次試験でも実務でも中心となる科目です。
この2科目は時間をかけて、高得点を狙うくらいの意識で問題ありません。
次に重要な科目
運営管理(特に生産管理)は、
2次試験で得点源にしやすく、
補助金や公的支援など実務でも製造業と関わる場面が多いため、
興味がなくても丁寧に勉強する価値があります。
個人差が大きい科目
経営情報システムは、IT経験の有無で勉強時間が大きく変わります。
IT経験者なら短時間で済みますが、
苦手な方は100時間以上かかることもあります。
割り切ってOKな科目
中小企業経営は完全な暗記科目です。
深く理解する必要はなく、
直前期に資格学校のテキストと直近の過去問を押さえれば十分対応できます。
③ 1科目ずつ完璧に仕上げようとすると詰まりやすい
真面目な人ほどやりがちなのが、
1科目ずつ完璧にしてから次へ進む勉強法です。
この方法には次のような問題があります。
- 先に勉強した科目を忘れてしまう
- 全体像が見えない
- 得手・不得手が把握できない
おすすめなのは、
複数科目を並行しながら、早めに全体を一周することです。
これにより、
- 自分の苦手科目が分かる
- 420点(6割)をどう取りに行くか戦略が立つ
- 足切り科目を防げる
といったメリットがあります。
④ 勉強スタイルを確立せず「気合」でやると続かない
勉強が続かない原因は、
意志の弱さではなく仕組みがないことです。
人によって、
- 通勤方法
- 仕事の拘束時間
- 休日の過ごし方
はまったく異なります。
大切なのは、
自分の生活に合った勉強スタイルを確立することです。
一番シンプルな考え方は、
スマホを触っている時間を勉強に置き換えることです。
通勤時間や待ち時間などのスキマ時間を活用すれば、
無理なく勉強時間を積み上げることができます。
スキマ時間学習に向いている講座
▶スキマ時間学習にはスタディングがおすすめです。

⑤ 1次試験は「60点主義」、2次試験を早く意識する
資格試験では、
**60点も100点も結果は同じ「合格」**です。
にもかかわらず、
- 80点・90点を目指して1次試験に時間を使いすぎる
- 2次試験対策が後回しになる
という人は非常に多いです。
特に2次試験の財務は、
早く始めるほど有利な科目です。
2次試験の勉強を少し始めるだけでも、
1次試験の理解が深まり、学習効率が上がります。
2次試験対策でおすすめのテキスト
1次試験中から取り組むのがおすすめなのは、『中小企業診断士2次試験 30日完成! 事例IV合格点突破計算問題集』です。
1次試験中から取り組むことで1次試験の財務・会計の知識が深まるとともに2次試験対策にもなります。
まとめ|努力量より「努力の配分」が合否を分ける
中小企業診断士試験は、
- 努力の量
- 根性
で決まる試験ではありません。
努力の方向性と時間配分が合否を大きく左右します。
もし今、
- 7科目を均等に勉強している
- 1次試験に全力投球している
- 勉強スタイルが定まっていない
という状況であれば、
一度立ち止まって勉強計画を見直してみてください。
正しい戦略を取れば、
診断士試験は必要以上に長期化させる試験ではありません。
