「中小企業診断士は独占業務がないから稼げない」という話を耳にすることがあります。国家資格を取得して稼ぎたいと考えている方が中小企業診断士について調べると、しばしばこうした否定的な意見に出会うことでしょう。しかし、これは事実とは異なります。今回は実際に中小企業診断士として活動する私の視点から、なぜこの認識が間違いなのかを詳しく解説します。
独占業務と名称独占資格の違い
まず、独占業務と名称独占資格について理解することが重要です。
- 独占業務: 特定の資格を持つ人だけが行える業務。例として、税務は税理士、登記は司法書士、労務は社会保険労務士が該当します。
- 名称独占資格: 資格を取得した人だけがその名称を名乗れる資格。中小企業診断士はこの名称独占資格に該当します。
つまり、中小企業診断士は「資格を持つ人だけが名乗れるコンサルタント」であり、資格がなければ「中小企業診断士」を名乗ることはできません。
独占業務がなくても稼げる理由
中小企業診断士に独占業務がないから稼げないと言う人は、「経営コンサルタントは誰でも名乗れるから価値がない」と主張します。しかし、実際には中小企業診断士だからこそ得られる仕事が多数存在します。
① 公的機関の相談員業務
例えば、商工会議所や各都道府県の中小企業支援拠点では、相談員の募集要件として中小企業診断士資格を求めるケースが多いです。これは実質的な独占業務に近く、資格がないと応募すらできません。
例として、多くのよろず支援拠点のコーディネーター募集では、資格要件として「中小企業診断士、税理士、行政書士」と明記されています。このように、独占業務ではないものの、中小企業診断士が優先される業務は多く存在します。公募内容に興味のある人は、J-NET21で実際の公募を確認するとよいです。※年末~2月は来年度の公募が多いです。それ以外の時期は募集がない場合もあります。
▼J-NET21
https://j-net21.smrj.go.jp/snavi/articles
② セミナー講師
中小企業診断士協会経由でセミナー講師の依頼もあります。行政書士をしている私自身の経験では、行政書士会から仕事が来ることはほとんどありませんが、中小企業診断士協会経由では定期的に依頼があります。
③ 金融機関からの経営改善依頼
金融機関経由での経営改善計画策定支援も重要な仕事の一つです。1件あたり数十万円の単価で依頼されることが多く、これも中小企業診断士資格があるからこその案件です。
④ 補助金申請サポート
補助金の事業計画策定も中小企業診断士に依頼されることが多い業務です。商工会議所で補助金相談をすると、「中小企業診断士の先生に相談してください」と案内されるケースも多く、資格が信頼の証となっています。
⑤ 民間企業の顧問契約
民間企業との直接契約も中小企業診断士として活動する中で得られます。資格がなければ出会えなかったクライアントからの依頼が多く、資格は信頼関係を築くうえで大きな役割を果たしています。
中小企業診断士は稼ぎやすい資格
実際、私自身の売上の90%以上は中小企業診断士資格を持っているからこそ得られたものです。
- 公的機関の仕事は日給2〜5万円程度。
- 月10〜20日稼働すれば月収20万〜60万円。
- 補助金サポートや経営改善案件では1件数十万円の単価。
これだけでも生活水準を維持できる収入を確保することが可能です。
資格で稼げるかは自分次第
資格だけで稼げるわけではありませんが、資格があるからこそ得られる機会は確実に存在します。実際、他の士業と比較しても中小企業診断士は稼ぎやすい部類に入ります。
例えば、行政書士や司法書士は単発業務が多く、安定的な収入を得るには顧問契約が必要です。一方、中小企業診断士は公的機関の仕事や企業顧問など、安定的に仕事を得る仕組みが整っています。
まとめ:「中小企業診断士は独占業務がないから稼げない」というのは事実ではない
「中小企業診断士は独占業務がないから稼げない」というのは事実ではありません。資格を活かせるフィールドは広く、公的機関の仕事や補助金支援、金融機関からの依頼など、多くの仕事が中小企業診断士を対象としています。
もし国家資格を取得して安定的に稼ぎたいと考えているなら、中小企業診断士は非常に有力な選択肢となるでしょう。資格取得を迷っている方には、ぜひ挑戦をおすすめします。
▼動画でも解説しています。